老舗
- 武将様
- 2月4日
- 読了時間: 3分
本日浪速は極寒でありまする。昼間は何とか持ち堪えておりましたが夜の風は指が凍る程の冷風。久方ぶりにかじかみましたな。ゴエ爺は本日一日中お風呂に浸かっておりました。湯葉くらいしわしわになっておりまする。
皆々様いかがお過ごしでありまするかな?
武将様は昨夜は梅田で戦をしておりました。着物だけではさすがに冷えましたな。戦の合間武将様は離れた所で煙草を吸うておると味のある店から八十前後の婆やが出てきたのでありまする。歌ったり酒を飲んだりして楽しむ店のよう。看板もいい感じに古びておった。婆やが武将様に一言。
「寒い中頑張っておるな」
武将様
「いやいや、お騒がせしてかたじけない。冷えますもんでどうぞ中へ」
婆や
「いやいや寒くはないよ」
武将様
「婆やはこの店長いの?」
婆や
「もう五十年以上よ。この辺も色々変わったが当時から残っておるのはうちだけよ」
武将様
「ほぉ、そうなのか。他の店とは歴史が違いまするな。見てすぐ分かりまするぞ。何とも味がありまする」
婆や
「分かるかい?それにしても頑張っておるね。昔から見ておるよ」
武将様
「あっ、見てくれておるのか。それはそれは感謝しまするぞ」
婆や
「大変な世界だけどね、頑張ってよ。ちゃんと見てるから」
武将様
「うむ!頑張りまする」
それから十分程婆やとあれこれ話し込んでおった。
すると遠くから若い殿方と姫君が歩いてきてこちらを見てこう言うた。
姫君
「あぁおったおった、ここに居ったんや」
殿方
「ほんま、おったおった」
何やら噂を聞きつけて武将様を探しておったらしい。それを聞いた婆やが二人に一言。
婆や
「犬か!犬ちゃうど!」
姫君
「え?」
殿方
「え?」
婆や
「犬見つけたんか。おったおったと言う言い方は何じゃ?」
姫君
「す、すみません」
婆やは武将様の方を見て
「なぁ、失礼な。おったおったちゃうわな?」
武将様はこれ以上変な空気にならんように
「まぁ元気に走り回るし大声で吠えるし犬みたいなもんですぞ」
と言うと婆やは笑ってくれた。
殿方と姫君と握手をして写真を撮って二人は帰られた。
そして婆やは店に戻ると言い武将様に一言。
「これからも応援してるでな」
あれだけ寒かったのに身も心もほかほかになったのでありまする。
そして婆やは店に入り扉を閉める間際に
「昔は嫌いやったけどあんたええ子やな」
ばたんと扉が閉まった途端に風がとても冷たかったのでありまする。
昔から見ていると言うておったな?その時は嫌いじゃったのか。てっきりずっと好きじゃと思うておった。まぁ言う見てると言うただけじゃからな。婆やは悪くない悪くない。最後に聞けば良かったぞ。いつくらいから好きになりましたかな?と。そしてとんな所が嫌いじゃったかな?と。
まぁまぁまぁ、、今は嫌いじゃないと言う事でよしとしましょうかな。
本日も皆々様。
よき一日になりまするように。
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